中高年はお口が臭い
皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。中高年になると、体に様々な不調が出てきますが、みなさんはどう対処されていますか。
様々な不調の中でも、最近、私が気にしているのは口臭です。中年以降になると、どうしても口が臭うようになりますよね。その主な原因は以下の5つだと考えられています。
- 唾液の分泌量の減少
- 免疫力の低下
- 腸内環境の悪化
- 人工歯の数の増加
- 歯肉が痩せる
口腔衛生
「1. 唾液の分泌量の減少」や「2. 免疫力の低下」は自分でなんとかするのは難しいかもしれませんが、「3. 人工歯の数の増加」や「4. 歯肉が痩せる」などは努力でなんとか食い止められそうですね。
私のような貧困層の場合は、生活にも、気持ちにも余裕がないので、どうしても健康対策は後回しになってしまいます。口腔衛生についても同じで、ブラックな仕事をしていると歯を磨く時間もなかったり、気分が落ち込んでいるときは歯も磨かずに寝てしまったりします。
また、喫煙や飲酒なども、歯に悪い影響を与える要素の一つです。
飲酒が歯に与える影響
喫煙が歯に悪いのは分かるけれども、飲酒は歯に悪いというのはあまり聞いたことがないかもしれません。アルコール依存症患者に虫歯が多いのは広く知られている事実です。
アルコールが虫歯の原因となる理由としては、次のようなものがあります。
- アルコールには多量の糖分が含まれている
- アルコールの利尿作用によって、体内の水分量が減り、唾液の量も少なくなる
- 酔うと、歯磨きが面倒になる
アルコール依存症の方では、虫歯の平均数が一般の平均の3倍程度になるというデータもあります。アルコール依存症について語ると紙面が足りなくなってしまうので、ここでは割愛します。気になる方は、以下の動画をご参照ください。
余談ですが、子供も時代の家庭環境が悪かった人も、平均より虫歯が多い傾向にあります。これは歯磨きをする習慣が身に付いていなかったり、歯磨きができないような環境にあったせいだと考えられています。
【禁酒・断酒】アルコールと歯の関係
話は逸れましたが、口腔内の衛生状態が悪くなれば、虫歯や歯周病にもなりやすく、口臭も増します。虫歯を治療したとしても、人口歯は歯垢が溜まりやすく、口臭の原因となります。
歯周病
口臭の原因は歯そのものだけではなく、歯茎にも原因があります。歯周病があると、どうしても口が臭うようになります。歯周病は歯肉が痩せる原因にもなります。
昔よりも歯の隙間に食べ物が挟まりやすくなったなと感じたら、歯肉が痩せてきた、または歯周病のサインかもしれません。
歯は「第二の心臓」
日本では口腔衛生はあまり重要視されていませんが、高齢化社会に向けて、これからも口腔衛生や予防歯科も見直されるようになると思います。
歯は「第二の心臓」とも呼ばれ、心臓から上の血流を循環させる役割を担っています。日本顎咬合学会によると、1回噛むごとに3.5Lの血液が脳に送り込まれると言われています。それだけの血液を循環させるということは、万が一、歯周病があった場合は、歯茎から血管内に入った歯周病菌(毒性物質)も全身に回ってしまうことを意味しています。
一昔前だったら、虫歯や歯周病が全身疾患に大きな影響を及ぼすと言われても誰も信じなかったと思いますが、今やこれは常識となっています。そんな事、信じられないと思う人は、テレビの健康番組やニュースの健康に関する特集などを見てみてください。頻繁に取り上げられている話題のです。
ちなみに、腸は「第二の脳」と呼ばれ、腸内環境は脳と密接な関係にあると言われています。そして、これも今や常識となっています。
歯周病を甘くみることなかれ!
歯周病が引き起こす全身疾患としては、以下のようなものがあります。
- 糖尿病
- 心臓病
- 骨粗鬆症
- 高血圧
- 脳梗塞
- 認知症
- 関節炎
これらの病気と歯周病の関係性は科学的に立証されています。テレビの健康番組などでも度々、取り上げられていますので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。この他にも癌や慢性腎臓病との関連性も明らかになってきました。詳細については、ここでは取り上げませんので、興味のある方はご自分で調べてみてください。
たかが歯周病、されど歯周病。歯周病を甘く見てはいけませんね。
どうですか?歯のお手入れにあまり熱心ではなかった人も、上記のデータを見たら考え直しのではないでしょうか。口臭だけではなく、歯周病の恐ろしさも分かったところで、次にお口の中を清潔に保つための具体的な方法を挙げていきます。
口腔内を清潔に保つための具体的な方法
- 電動歯ブラシ
- 水流歯ブラシ
- 舌ブラシ
- デンタルフロス
- マウスウォッシュ
- 歯のクリーニング
上から順に説明していきます。
電動歯ブラシ ★★★★☆
普通の歯ブラシから電動歯ブラシに変えたときの衝撃は今でも忘れられません。それほど期待せずに使ってみたのですが、初めて電動歯ブラシを使った後、舌で歯の表面を触ってみたら、予想以上にツルツルになっていて驚きました。手磨きで磨ききれなかった箇所に電動歯ブラシを当てると、気になっていた口臭と同じ臭いがしました。そういった箇所は臭いがしなくなるまで、徹底的に磨きました。
手磨きでは磨き切れない箇所も磨け、また、手磨きと違って何分間も歯磨きを続けても手が疲れないのも良い点です。
星5つにしなかったのは、電動歯ブラシでも磨き残しはあり、完全に歯垢を除去することはできないからです。
様々なメーカーが電動歯ブラシを販売していますが、ブラウン社製が一番、良く磨けて、丈夫で長持ちするような気がします。替え歯ブラシも、全国どこのドラッグストアでも手に入るのでお勧めです。
水流歯ブラシ ★★★★☆
電動歯ブラシで磨いた後、水流歯ブラシでも磨くとさらに磨き残しが減ります。お口の中がさっぱりしてオススメです。難点は水が跳ね散ることです。メーカーはお風呂での使用をお勧めしていますが、慣れるとそれほど跳ね散らなくなります。以前は水を入れるタンクが大きく、場所を取っていましたが、最近はコンパクトで場所を取らない物が主流です。歯茎のマッサージもできます。
私の母が使っているものです。ちょっと値は張りますが、コンパクトで場所を取らず、効果もバツグン。この手の製品では、パナソニックに一日の長あり。
舌ブラシ ★★★★☆
歯を念入りに磨いても口臭が残る場合は、舌に付着した汚れが原因かもしれません。そういった場合は、舌ブラシを使ってみましょう。臭いが劇的に変わる場合があります。コーヒーを飲んだ後には、特にお勧めです。
形状や材質はなんでもOKだと思いますが、舌苔がこびりつきますので、汚れを洗い落としやすく、乾かしやすい物が清潔さを保てて良いと思います。
デンタルフロス ★★★☆☆
個人的には歯間ブラシよりもデンタルフロスのほうがお勧めです。歯の形状に自由に合わせることができます。歯と歯の間の隙間や、歯茎と差し歯の隙間にも良くフィットします。ワックス付きはフロスの表面が滑らかですべりが良く、慣れていない人向け。表面にミントの粉が付着した、ペパーミント味のフロスもあります。ペパーミント味、私は好きですが、手が少しベタベタします。
デンタルフロスが苦手な人は、ペパーミント味で美味しく、楽しくお掃除♪ ペパーミント好きにオススメ。
マウスウォッシュ ★★★☆☆
歯磨き後の仕上げに使用します。または、外出先で歯磨きできない場合に使用します。携帯用のマウスウォッシュはすぐになくなってしまうので、私は大容量のマウスウォッシュを買って、携帯用の容器に詰め替えて使っています。
歯のクリーニング ★★☆☆☆
歯科医院での歯のクリーニングは、定期的に受けたいものです。一般的には、半年に一回のクリーニングが推奨されています。現役世代は忙しくて頻繁に歯のクリーニングができない人も、年を取ったら、少しでも歯を多く維持するために、こまめにクリーニングしたいものです。費用は保険適用の範囲であれば3,000~4,000円程度。保険適用外の場合は、10,000円ぐらいになります。
私事ですが、昔、口臭に悩んでいた時期に10,000円ほど費やして歯のクリーニングをしてもらいましたが、口臭が消えずに絶望した覚えがあります。
その後、舌ブラシで舌を磨いたら口臭が消えました!口臭で悩んでいる人は、歯、歯肉、舌、内臓疾患など様々な要因を探ってみると良いと思います。
歯垢は歯磨きで除去できますが、歯石はクリーニングでしか取れないので、必要なケアだと思います。ただ、時間と費用が掛かるのと、少し痛みがあることがデメリットです。
虫歯と家庭環境の関係
歯科医師の中には、子供の虫歯は100%親の責任だと言い切る人もいます。親の学歴が低ければ、低いほど子供の虫歯率も高くなります。また、収入の低い世帯では経済的な事情から歯医者を受診できないこともあります。
さらにまた、親自身も歯磨きの習慣がなく、虫歯が多くても気にしないため、子供にも歯磨きを教えなかったり、子供の虫歯を放置しても気にしないこともあります。
中には虐待されていたため、歯磨きすることもできなかったという子供までいます。
そんな家庭で育った子供は、一生、虫歯と切っても切れない関係を結ばなければなりません。悲しいことですね。
親に虫歯があると、子供の虫歯発生率の3倍以上になるとも言われています。歯科医師の報告では、母親に虫歯のない場合、子供の虫歯発生率は24.1%だったのに対し、母親に虫歯のある場合、子供の虫歯発生率は75.9%と圧倒的に高いということが解っています。
子供のうちから大きな健康格差が、生じているわけです。そして多くの場合、この格差は一生続きます。恐ろしいですね。
また、子供の年齢が上がっていくにつれ、歯医者を受診する率も下がってきます。このような家庭では学齢が上がるにつれて虫歯も増えていると予想されるのに、受診率は逆に下がっている… 放置という名のネグレクトが行われている証拠ですね。
口腔がんと口臭の関係
上述の全てを試してみても、口臭が消えない場合は、病気を疑ってみる必要があるかもしれません。
私の母は昨年、口腔がんの手術をしたのですが、手術を受ける前は口臭がかなりきつかったです。手術は成功し、手術後は口臭が激減しました。
母は歯茎の腫れをずっと歯周病だと思い、小さな町医者に通っていたのですが、だんだん腫れが酷くなり、大きな病院で検査をしてもらったところ、歯肉がんだと分かりました。父の介護もあったため、違和感を覚えながらも2年ほど放置してしまい、検査でがんが見つかったときにはステージIIにまで進行していました。父が亡くなってから、ちょうど一年後のことでした。
歯肉がんは歯茎にできる悪性腫瘍の一種で、舌がんに次いで多く、口腔がんの約25%を占めています。初期症状としては、歯茎の腫れや出血、歯がぐらつく、 口内炎が2週間以上治らないなどがあります。粘膜が赤くなったり、白色に変色したり、口の中に硬いしこりや腫れができることもあります。
歯肉がんの発覚に伴い、念の為、他の部位にもガンが転移していないかどうか、全身を隈なく調べることになりました。そのためには、レントゲンやCTスキャン、MRIではなく、PET検査というものを受ける必要がありました。高額な検査ですが、体にメスを入れずに、数十分で全身を検査することができる検査です。
人間ドッグなどでこの検査を受けた場合は10万円ほど掛かりますが、母の場合は既にがんが見つかっているため、保険が適用され、さらに後期高齢者だったため、1割負担で済みました。
この検査によって、ステージIの胃がんも見つかりました。さすがの母もこれにはかなりショックだったようですが、持ち前の明るさで口腔ガンと胃ガンの二つの手術を乗り切りました。強さと明るさを備えた尊敬すべき女性です。
これまで、母はずっと健康で、人生で一度も手術をしたことがありませんでした。医者から歯茎と上顎の骨を切り取る手術の話を聞かされたときの胸中はいかばかりか…切除箇所は約4㎝平方ですが、上顎の骨を切り取るので顔が変形するかもしれないと言われました。
術後、母の口元の右半分が凹んでしまいましたが、高齢で口元がシワシワなのでグロテスクなほどには変形せず、特注の入れ歯を装着すると、まったく分からなくなります。新しい入れ歯のお蔭で、歯並びも良く見え、美人度が少し上がったぐらいです。
胃のほうは内視鏡手術と開腹手術の選択肢があったのですが、ステージIだったため、内視鏡手術ですみました。幸い、ガンの再発も転移もなく、無事、一年が経過しました。
口腔ガンの原因は様々です。喫煙、飲酒、むし歯、合わない歯冠や義歯による刺激などが挙げられます。
母はタバコも吸いませんし、お酒もほとんど飲みません。予防歯科にも熱心だったのですが、合わない義歯をずっと使っていましたので、それが原因かもしれません。
高齢者の中には、義歯は合わなくて当たり前だと思っている人も多く、どこかが当たっていたかったり、食べづらかったりしても、我慢して使い続けてしまうようです。しかし、今は医学も進歩しています。母が術後に作ってもらった義歯は何度も調整を繰り返し、出来上がるまでに半年以上かかりましたが、非常に良く出来ており、違和感もまったくないようです。
最後に
日本人は歯が汚いと言われていますが、私は今までに一人だけ歯並びも完璧で真珠のような美しい歯を持っている日本人女性に会ったことがあります。その人は矯正もしたことがなく、ホワイトニングをしたこともないそうなので、生まれつきの資質もあると思います。滅多にないレベルの美しい歯で、それまでの歯磨きの努力なども含めて、宝石にも値する価値があると思いました。
昔、「芸能人は歯が命」というCMがありましたが、一般人も歯が命です。皆さんも歯の健康と口内衛生、ひいては全身の健康状態にも気を付けでくださいね。