NISAを始めようと思って銀行に行ったら、とんでもないものを買わされた
2024年1月、私は「積立て生命保険」を解約したお金67万円と、父の死亡保険金の一部である100万円を所有していました。
父の死後、母は死亡保険金として1千万円を受け取りました。そのお金は葬儀費用に充てたのですが、小規模な家族葬にしたため、あまりお金も掛からず、残った分の中から10万円を私にくれたのです。
幸いにも、お墓は数年前に姉が購入しておいてくれたので(約500万円)、葬儀費用だけですみました。もしもお墓がなかったら、死亡保険金1千万円は葬儀費用とお墓で全部消えていたでしょう。人は生きていても、死んでもお金が掛かるんだなあと実感しました。また、今更ながらに、終活の重要性を身に染みて感じました。
話は逸れましたが、私は手元にあった167万円をNISAに使うつもりでした。
その頃の私は心身共に絶不調でした。自分の人生にも行き詰っていましたし、肉親の死に直面し、株式投資のことなど考える余裕はまったくありませんでした。
そろそろ、老後のことも考えなくてはならない年齢なのに、まったく備えていないことも気掛かりでした。できればこの余剰資金をできるだけ早く、可及的速やかに、ただの預金から別のものに変える必要がありました。
そこで、私はメインバンクとして長年使っているみずほ銀行へ行き、お金のプロに相談することにしました。正直、外出もままならない状態でしたが、危機感に突き動かされて、なんとか銀行まで行くことができました。
お金のプロに相談?!全部、おまかせで!
銀行に行くときには、167万円のうち、半分をNISAに投資し、残りの半分で国債を買って老後に備えるつもりでした。株式の銘柄はよく分からないので、銀行の人に選んでもうらうつもりでした。レストランで「今日のオススメ料理をお願いします」とか、美容院で「全体的に短くしてください。あとはお任せします」みたいな感じでお願いしようと思っていたのです。銀行員からしたら、まさにカモがネギを背負ってやってきたように見えたでしょう。
そして、2時間ほど、霧がかかった状態の頭で銀行の人の話を聞き、疲れ切って出てきたときには、まったく考えてもいなかった「プレミアムカレンシーM3」という外貨建て個人年金を買わされていました!
しかも、その時点では自分が騙されたことにまったく気づかず、銀行に相談して良かったとまで思っていました。
銀行員を信じてはいけない
「外貨建て個人年金」がいかにクズな商品であるかを知ったのは、約1年後のことでした。
偶然、両学長のリベラルアーツ大学の動画を見たのがきっかけです。すごくショックでした。対応してくれた銀行員を信頼していたので、怒りも感じました。馬鹿な私は、何の根拠もなく、銀行員は信頼できる人達ばかりだと思っていたのです。なにしろ、信用を売る商売ですからね。
渋沢栄一 「信用は実に資本であって、商売繁盛の根底である」
銀行員が言わない不都合な真実
私のような人が一人でも減るように、銀行員が絶対に口にしない不都合な真実を、実体験を踏まえて、皆様と共有したいと思います。
「普通の人にはご紹介しない超高利回りの商品を、笛吹き様にだけ、特別にご紹介します」
彼らの甘い言葉に惑わされてはダメですよ!銀行員は自分の利益のために、平気で嘘をつきます!相談にのってくれたあの若くて純粋そうな銀行員も、羊の皮を被った詐欺師でした。良い勉強になりました。
銀行員が言わない外貨建て個人年金の不都合な真実
- 高利回りでないにもかかわらず、高利回りだと思わせる。
私が買わされた第一フロンティア生命の「プレミアムカレンシーM3」の積立利率は、0.87%(実質利回り0.768%)です。
「今の預貯金の低金利(0.125%)を考えてみてください。それに比べたらすごくお得ですよ」
銀行員のセールストークに乗せられて、そのときはすごく良い買い物をしたように感じましたし、そのような特別な金融商品を紹介してくれた銀行員に感謝さえしていました。当時の私は「今の金利は0.125%ですよ」と言われても、「へえ、そうなんですか」という反応でしたから、自分から騙してくださいと言っているようなものでした。
しかし、後で調べてみたら、NISAのほうが何十倍もお得でした!NISAだったら、銘柄選択を大きく間違えない限り、金利は3~5%です。それを相手の無知に付け込んで、いかにも高利回りのように紹介するのですから、かなり悪質です。
銀行員に騙されずに、最初からNISAに投資していれば、一年間で約3万円~8万円の利子を手に入れることができました。
「プレミアムカレンシーM3」の場合、運用期間は10年です。例えば、500万円を10年間、保険会社に預けても、540万円ぐらいにしかなりません。しかも、この540万円には20%の利子が課せられます。
一方、500万円を一括でNISAに投資した場合、10年後には650万円~750万円になります。この差は大きいですね。
中高年の中には退職金を丸ごと銀行にお任せする人もいるでしょうから、損失は計り知れません! - 金融類似商品には20%の税金がかかる。
もしも、外貨建て個人年金保険*で僅かな利益が得られたとしても、金融類似商品には20%の税金が課せられます。これは、外貨建て個人年金保険が金融類似商品とみなされているからです。つまり、年金保険ではなく、投資という扱いですね。
また、外貨建て個人年金保険を中途解約した場合でも、20%の税金が課されます。
しかも、2025年問題が起きる来年には、この税率が20%から25%、または30%に引き上げられると予想されています。
(* 個人年金は保険ではありませんが、保険会社の商品なので、個人年金保険と呼ばれることが多いです。紛らわしいですね。) - 個人年金保険の積立利率と預金の利率はまったく違う。
個人年金保険の積立利率は、預金金利とは違います。預金の場合、利率0.125%は預金額全てに掛けられますが、個人年金保険の場合は積立利率が保険金すべてに掛けられるわけではありません。
保険会社が決めた一定の割合の保険料に対して、積立利率が適用されます。しかも、その割合は顧客には知らされません。(通常は保険料の0.4~0.6%のようです。あまりにも、少なすぎますね。) - 外貨建てであるにもかかわらず、ドル高の恩恵がほとんど反映されない。
一言でいえば、ぼったくり商品です。保険会社の外貨建て個人年金の利率がドル高の影響をほとんど反映していない件に関しては、金融庁も問題視しています。
その点については、両学長さんが分かりやすくまとめてくれていますので、下記の「金融庁が問題視『外貨建て個人年金』の利率があまりにも低すぎる?」という動画をご覧ください。 - 手数料が非常に高い(2%)。
外貨建て個人年金の手数料には、為替手数料なども含まれるため、円建ての年金保険よりも高くなっています。しかも、高額な手数料は顧客にはまったく説明されません。
例えば、1,000万円を預けた場合、手数料は20万円になってしまいます!これは痛いですね。 - 満期になるまで、お金がおろせない。
個人年金保険の場合、積立期間は通常10年です。満期日がくる前にお金が必要になっても、すぐにはおろせません。また、中途解約をすれば、元本割れし、数十万円~数百万円の損失となります。さらには、満期まで待っても元本割れするケースが多いのです。
一方、NISAはいつでも好きな時に好きな額だけ引き出せて、元本割れがありません。
為替リスクで元本が減る可能性があり、さらに高額の手数料が引かれ、高額の税金も引かれる…外貨建て個人年金には、何一つ良いところがありません。それだったら、普通貯金のほうが何倍もマシです。 - 銀行の利益と顧客の利益は相反する。
銀行は顧客の利益よりも、自分たちの利益を優先します。
NISAも国債も手数料が安いので、販売しても銀行はあまり儲かりません。しかし、外貨建て個人年金保険を売れば、高い手数料が取れますし、保険会社からもマージンが入ります。
私の担当をしてくれた銀行員は二人とも、雑談の中で「私たちも数年前からNISAをやってますよ」と言っていました。NISAを実際にやっていて、その旨みを知り尽くしているにもかかわらず、顧客には平気でゴミを掴ませるのです。
こんな商品を売りつける保険会社も、保険会社と結託している銀行員も人として終わっています。 - 契約時にはすごく親切だったのに、解約時には人が変わったように冷淡になる。
銀行の担当者に外貨建て個人年金保険を解約したい旨の電話をすると、急に態度が変わりました。
また、売りつけるときは熱心に保険の窓口になっていたのに、解約するときは、「そういうことは、保険会社に連絡してください」と、部外者のように振舞っていました。つまり、銀行員は外貨建て個人年金保険を売りつけるだけで、クレームは受けなくても良いのです。
また、私は怒りを抑えて礼儀正しく振舞ったつもりですが、向こうは私が最後に頭を下げて挨拶をしている途中で席を立って奥へ引っ込んでしまいました。
銀行と保険会社の癒着については、多くの人がインターネットに書き込みをしています。興味のある方は、インターネットで検索してみてください。「銀行で保険を勧められた」というキーワードで検索すると、私と同じような体験談がたくさん出てきます。被害者の多くは中高年です。
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高い代償を払って学んだこと
返還率が100%になる3年後以降に「プレミアムカレンシーM3」の解約をするつもりですが、高い手数料、税金、為替リスクなどを考えると、数万から十数万円の損失が出ることを覚悟しています。老後が心配で銀行に行ったのに、少ない老後資金を更に減らす結果となってしまいました。悲しいです。
損をした分は、NISAやiDecoなどを使って、5年、10年をかけてゆっくり取り戻すつもりです。若い人たちであれば、損失はいくらでも挽回可能です。私の場合は、最終的にプラマイゼロになればいいかなと思っています。
今はネットで誰でも簡単に資産運用できる時代です。良い時代になりましたね。
一方で、無知である代償が高くつくことも身をもって学びました。これを教訓にして、今後は真剣にお金の勉強をしようと思います。
それにしても、信頼を裏切られたのは本当に残念です。彼らが顧客の利益を優先してくれていれば、今後、まとまったお金が入ってきた時は、また同じ方にお願いしようと思えたんですけどね。長い目で見れば、彼らにとってもそのほうが良かったのではないかと思います。
私は見た目も持ち物も貧困層そのもので、外見からもけして生活が豊かではないのが分かると思うのですが、そのような相手にさえ、自分の利益のためにはこのようなクズ商品を売りつける平気で売りつける銀行員の品位の低さにがっかりしました。
ご参考までにお伝えすると、その銀行はみずほ銀行です。
知識は力なり
ソクラテスも「無知は罪なり」と言っています。無知であることは、自分の責任です。考える事を放棄して、すべてを人に任せてしまった自分にも非はありました。
私も含めて、日本人の大半がお金に対してあまりにも無知です。学校でも家庭でも、お金にまつわる話は下品、はしたない、あさましいとされ、公に語られることがありませんでした。そのツケが回ってきたのか、日本はG7の中でもただ一国だけ長期のインフレから脱出できずにいます。発展衰退国「日本」で生き残るためには、お金の勉強は避けて通れません。これからは自分に言い訳をせず、コツコツと勉強し、できることから始めようと思います。
最近、ブログを始めたり、家計の見直しを始めたことで、新しい知識がどんどん入ってきて、頭の回転も早くなってきました。本当に「知識は力なり」ですね。まだまだ、ブレインフォグには悩まされていますが、少しずつ、生きる意欲や希望を取り戻しつつあります。
銀行または証券会社に資金運用をお任せしようと考えていらっしゃる中高年の方々へ
銀行はお金に無知な中高年を明らかに狙っています。諸般の事情で、どうしても自分で資産運用ができず、銀行や証券会社に依頼する場合でも、ある程度の知識は身に付けておきましょう。銀行に相談する前に、何を買うか(NISAやiDeco、国債など)という大雑把な選択だけでも、自分で考えておきましょう。
老後のための資産運用であれば、民間の変な保険商品ではなく、元本割れがなくて手数料が安いNISAやiDeco、国債のほうが何倍もお勧めです!政府が様々な優遇措置を付与してくれていますからね。
そしてNISAやiDecoを申し込むと決めたら、銀行員が別の商品をお勧めしてきても、当初の計画を曲げない強い意志を持ちましょう。万が一、損失が出ても(NISAやiDecoで損失が出る可能性は極めて低いと思いますが)、自分で選んだものであれば諦めがつきやすいです。
貧困層でも、中間層でも、富裕層でも、無知な人は騙されやすいです。ハイエナたちの格好の餌食とならないように気を付けましょう。
また、当日はできるかぎり心身の状態を整えて、銀行・証券会社行くことをお勧めします。心身共に余裕のない状態では、絶対に行かないようにしましょう。
頭がすっきりしない状態や、心に余裕のない状態で家や土地を買う人がいないのと同じように、銀行へ行く場合でもそのような状態でまとまったお金を使わないようにしましょう。
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渋沢栄一 「金儲けを品の悪いことのように考えるのは根本的に間違っている。しかし儲けることに熱中しすぎると、品が悪くなるのも確かである。金儲けにも品位を忘れぬようにしたい。」