少額から気軽に始められる純金積立
純金積立のメリットは、少額から積立てが可能な点です。ゴールドのインゴットは高くて手が出せない人でも、純金積立だったら気軽に始められます。
顧客が積み立てた、純金は地金商の金庫で保管されています。
金庫に保管されている純金は、積立額が一定の金額に達すると引き出すことができるようになっています。
何かと便利な純金積立ですが、メリットばかりではありません。以下のようなデメリットもありますので、注意しましょう。
高い手数料
空前のゴールドブームを受けて、2025年、大手地金商は一斉に純金積立の手数料を引き上げました。
大手地金商の多くは純金の保管料を無料にしていますが、保管料以外の名目でかなりの手数料を取っています。
1. 年会費
年会費は無料のところと、そうでないところがあります。
田中貴金属の場合、年会費は1,100円(税込み)です。
2. 積立手数料
純金積立では、顧客に代わって地金商がゴールドを買い付けする際に買付手数料(積立手数料)が発生します。
積立手数料は積立金額の2.8%〜1.6%です。
3. 口座管理料
積立を休止すると、約1,300円/年の口座管理料が発生します。
4. 引き出し手数料
インゴットの引き出し時には、引き出し手数料がかかります(1回につき、約2,000円)。
5. バー指定料
500g未満のインゴットを引き出す場合は、1本ごとにバー指定料がかかります。この料金が、結構、高くて驚きです。
指定料はどこの大手地金商も大差はありません。
<田中貴金属のバー指定料>
500g以上: 無料
100g以上〜500g未満: 16,500円(税込)
50g以上〜100g未満: 8,800円(税込)
20g以上〜50g未満: 4,400円(税込)
6. 振込手数料
解約した積立金を現金で受け取る場合は、振込手数料がかかります。
7. 送料
数十年前でしたら、ふらっと店舗に立ち寄って、当日に現物を持って帰れたようですが、現在はインゴットの店舗受け取りはできなくなっています。
インゴットの引き出しには数日を要するため、後日郵送となります。
税金
純金積立には税金もかかります。
純金積立で得た利益は、ゴールドのインゴットと同じように「譲渡所得」として扱われます。
譲渡所得(売却益)が年間50万円以下の場合は、非課税となります。
詳細については、以下の記事の「売却時の注意点 ― 税金」の項をお読みください。
上述したすべての手数料を合計すると、純金積立の手数料は無視できない額になります。
純金積立を始める際には、規約書をよく読んでおきましょう。
手数料を少しでも減らしたい人は、大手地金商ではなく、ネット証券の純金積立を利用すると良いでしょう。
しかし、安いものには必ず理由があります。手数料が安い場合は、「分別管理」の種類が「消費寄託」になっている場合が多いようです。
契約する前に、「手数料の安さ」と「安心・信頼」を秤にかけてみましょう。
分別管理の種類
特定保管
特定保管の場合、顧客が積み立てたゴールドと運営会社の資産は、明確に分けて保管されています。万が一、運営会社が倒産したとしても、顧客のゴールドは保証されます。
「特定保管」の場合、外部監査が定期的に行われ、運営会社が適正な量のゴールドを保管しているかどうかチェックされます。
消費寄託
消費寄託の場合、保管料が無料になるなどのメリットがあります。
しかし、「消費寄託」では、顧客が預けたゴールドの所有権は運営会社のものとなってしまうため、運営会社が破綻すると、顧客は一般債権者と同等に扱われてしまいます。
債権者平等の原則により、現物が優先して返還されることはありません。
また、「消費寄託」の場合、運営会社は顧客のゴールドを自由に運用・管理できるため、厳格な外部監査が行われないことが多いようです。
運営会社が破綻した場合、ゼロになるリスク
純金積立を行っている会社(地金商、証券会社など)が破綻した場合、分別管理の種類によっては、積み立てた資産が一部しか返還されない、または返還に時間がかかる可能性があります。
一方的な規約改正
2025年7月、田中貴金属の純金積立をしている契約者宛に、積立ルール変更のお知らせが送られました。
お知らせの内容は、「2025年12月から、積立金の引き出し方法を変更する」というものでした。その内容が波紋を呼んでいます。

この刻印があるインゴットは世界中で信頼される
ルール変更の詳細
2025年12月以前は、純金積立を解約した場合、積立金を「現金」または「ゴールド」のどちらかで受け取りが可能でした。
しかし、2025年12月以降は、積立金の返却・受け取りは「現金のみ」となりました。
(積立金は解約時のゴールド価格に換算して返却されます。)
解約時にゴールドを受け取りたい場合は、解約前にあらかじめ「地金引出し」の手続きをする必要があります。その後、積立てを解約すれば問題ありません。
気を付けたいのは、純金の引き出しルールが年々、厳しくなっているということです。
今回の改定はたまたまSNSで話題になりましたが、これまでもルールは少しずつ改悪されていました。
数十年前は、ふらっと店舗を訪れたら、すぐにインゴットを持って帰れたようですが、ここ数年で状況はかなり変わりました。一度に引き出せるインゴットの量が制限されたり、手数料が上がったり、引き出しに時間が掛かったりと、昔のように簡単に引き出せなくなってきています。
こうした流れは、今後も続くとみられています。
顧客に不利な契約内容
純金積立を始めるにあたっては、全員が契約書に目を通し、「同意」ボタンを押しているはずです。しかし、契約書をちゃんと読んでいる人がどれくらいいるでしょうか。
田中貴金属の純金積立契約書の中には、「社会情勢の変化に応じて、規約を変更する場合があります」という一文が盛り込まれています。
契約者はこれに同意したことになっていますので、田中貴金属が「社会情勢の変化に応じて」一方的に規約を変更しても異議は唱えられません。
ちなみに、この「社会情勢」とは、政治、経済、文化、人口といった社会全体の動きや状態のことを指します。いかようにも解釈可能な表現なので、何をもってして「社会情勢の変化」とするかは、田中貴金属の一存で決まります。
今回のようなルール変更は、田中貴金属に限ったことではありません。他の地金商も同じような改定を毎年、少しずつ行っています。
ゴールドのETF
ゴールドのETF*は「ペーパーゴールド」とも呼ばれ、金の価格に連動する投資信託です。株式のように証券会社を介して購入します。
自宅に居ながら、インターネット上で好きな時に売買できる点が魅力です。
また、純金積立と同じように、毎月、少額から始められる点も魅力の一つです。
NISAの成長投資枠で購入すれば非課税になりますし、純金積立のような手数料も不要です。
すべてが電子上の取引で完結するので、現物を手元に置くリスクもありません。
但し、ゴールドのETFにはペーパーゴールドならではのデメリットもありますので、注意が必要です。
証券会社や地金商は、ゴールドのETFや純金積立が「紙の上」だけではなく、現物に裏付けられているとしていますが、実際には、実物の裏付けがなくてもいくらでも発行することができます。
市場に出回るペーパーゴールドの量は、実際に金庫に保管されている現物のゴールドの量を遥かに上回っているとも言われています。
つまり、ペーパーゴールドを現物のゴールドに換えようとした場合、どこかで帳尻が合わなくなってしまうのです。
そのような事態を防ぐために、証券会社や地金商は定期的に外部監査法人による監査を受けることが義務付けられています。
監査では、外部監査法人が証券会社や地金商の金庫や倉庫に立ち入り、実物資産が正しく存在するか、数や重量を確認します。
しかし、上述したように契約の種類によっては、この監査を行わなくても済む場合があります。
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