皆さんは「ディフェンシブ株」をご存知でしょうか?
ハイテク株が「攻め」の銘柄なら、ディフェンシブ株は「守り」の銘柄です。
剣だけを持っていても体は守れませんし、盾しか持っていなければ戦えません。人生と同じように、投資にも「攻め」と「守り」の両面が必要です。
今回はそんなディフェンシブ株について、解説します。
「攻め」と「守り」の銘柄
「攻め」の銘柄の代表と言えば、大型テック株でしょうか。
一方、「守り」の銘柄は、食品・日用品・医療品・エネルギー関連企業の株です。
「攻め」の銘柄は「景気敏感株」と呼ばれ、その名の通り、景気に大きく影響されます。
一方、「守り」の銘柄は「ディフェンシブ株」と呼ばれ、景気に左右されません。
ディフェンシブ株の具体例
上述したように、ディフェンシブ株は生活に欠かせない物を製造している企業の株です。
食品、薬、せっけん、トイレットペーパー、電気、ガスなどは生活に必要不可欠な製品なので、景気が悪化しても需要が落ちません。
景気敏感株の具体例
一方、ディフェンシブ株とは対極にあるのは、景気敏感株です。具体的には、自動車、機械、半導体、鉄鋼、化学、建設、不動産、海運、化学関連企業の株です。
これらは景気が悪化すると需要が減るので、景気の影響をダイレクトに受けます。
ディフェンシブ株の分類
ディフェンシブ株は、大きく分けて以下のセクターに分類されます。
・エネルギーセクター(電力、石油、ガス、燃料、エネルギー設備など)
・公共事業セクター(鉄道、道路、公益事業、電力、ガスなど)
・ヘルスケアセクター(医薬品、ヘルスケア用品、バイオテクノロジー、ライフサイエンスなど)
・生活必需品セクター(食品、飲料、家庭用品、日用品など)
・金融(銀行、保険、証券など)
NISAで購入できるディフェンシブ株(インデックス)
日本株
日本のディフェンシブ株としては、NEXT FUNDS TOPIX連動型インデックスがあります。NF TOPIX連動型インデックスは、TOPIXに含まれる約1,200社を17業種に分けたインデックスです。

出典:野村アセットマネジメント
この中でも「NF銀行業」や「NF電力・ガス」は、当ブログで既にご紹介しています。
TOPIXの構成銘柄は約1,200社とかなり多いので、業種別のインデックスにした場合でも構成銘柄は結構多く、リスク分散はできていると思います。
安定重視の銘柄なので、大きなリターンは狙えません。
* 投資は自己責任でお願いします。
米国株
米国のディフェンシブ株として有名なのは、「S&P 500 セクター別インデックス」です。「S&P 500 セクター別インデックス」はその名のとおり、S&P 500に含まれる銘柄を11種類のセクターごとに分けたインデックスです。
ただし、S&P 500の構成銘柄500社をさらにセクター別に分類したものなので、構成銘柄は21~86社と少なく、分散効果はかなり少なくなっています。その点はご注意ください。
このインデックスを買っている層は、30代〜50代を中心とした中上級者の個人投資家です。S&P 500やオルカンを買っている初心者層に比べ、年齢層や投資経験のレベルがやや高い層に好まれています。
ハイテク株などに投資をしつつ、暴落時のリスクを減らす目的で購入しているようです。
* 投資は自己責任でお願いします。

バフェットが愛する究極のディフェンシブ株 「 コカ・コーラ」
最後にご紹介するのは、究極のディフェンシブ株「コカ・コーラ社」です。この株はバフェット氏が38年間にわたって保有していることでも有名です。
なぜコカ・コーラが究極のディフェンシブ株と言われているのか ― その理由について、詳しくご説明致します。
ちなみに、コカ・コーラ・カンパニーの株は、NISAの成長投資枠で買えます。

バフェット氏は1日にコーラを5本飲むと言われている
1. 強いブランド力
コカ・コーラは世界で一番売れている炭酸飲料です。もちろん、日本でも売り上げNo.1です。
グローバル市場でのコカ・コーラのシェアは、約40%〜46%。文句なしの1位です。2位はペプシコ社で、約20%〜30%です。
人気の差は微妙な味の違いから来ているようです。
- コカ・コーラ:炭酸がマイルドで飲みやすく、ペプシよりも甘味が強い。万人受けする味。
- ペプシ:炭酸が強く、微量の食塩が加えられているので、ドライな喉ごし。
長年、コカ・コーラを飲み続けてきた消費者は、他社のコーラを飲んでも「何か違う」と感じるので、最終的にはコカ・コーラに戻ってきます。
これがコカ・コーラのブランド力です。

2. 高い参入障壁
コカ・コーラは既に圧倒的なシェアを確立しています。140年にわたって築き上げたコカ・コーラ王国の地盤は盤石で、消費者は簡単には離れていきません。
コカ・コーラに独占された市場には、ライバル企業が入り込む余地がほとんど残っていないため、参入障壁が高くなっています。

簡単には攻め入れられない
自動車や半導体のようにライバル企業が次から次へと参入してくる市場は、最終的には価格の引き下げ合戦になってしまい、利益率が落ちてしまいます。
しかし、高い参入障壁がある分野は、そのような心配がありません。
3. 強い価格決定力
コカ・コーラの価格が上がっても、消費者は他社の製品を選びません。この唯一無二性が、強い価格決定力を生み出しています。
価格を上げても消費者が離れていかなければ、企業は原材料価格の高騰を価格に転嫁することができます。これが「価格決定力」です。
一方、安い代替品に置き換え可能な製品の場合は、原材料価格が高騰しても値上げができません。値上げをすれば、消費者が離れていってしまうからです。
ただし、あまりにも値上げが相次ぐと、さすがのコカ・コーラでも消費者が離れていく可能性はあります。
4. 永続性
特定の企業に投資をする上で重要な判断項目は、その企業が一過性のブームで終わらず、10年後、20年後も利益を出し続けるかどうかです。
一過性のブームに踊らされずに、長く利益を上げられる企業かどうかを判断しましょう。
ウォーレン・バフェットも「10年持てない株なら、10分も保有するな」と言っています。
コカ・コーラは不景気でも売れますし、時代が変わっても廃れません。64年間にわたって、増配を続けています。全米でも50年以上、連続で増配を続ける企業はわずかしかありません。
このような点が、バフェット氏がモットーとする「バリュー投資」基準に合致しているようです。

出典:BigGo ファイナンス
5. 低い経費率
製造業は巨大な工場を建設し、稼動させなくてはならないため、どうしても経費率が大きくなってしまいます。
しかし、コカ・コーラ社は原液のみを製造しています。製造、加工、ボトリング、販売、自動販売機の管理などは他社に委託しているため、製造業でありながら、低い経費率が維持できています。

コカ・コーラ・カンパニーから業務委託されている会社である。
また、長年、同じ製品を製造しているので、新たな設備投資も必要ありません。
コカ・コーラ社の資産効率と低コスト体質は業界でもトップクラスです。
6. 自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率(ROE)とは、企業がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す指標です。この数値が高いほど、効率よく利益を生み出していると考えられます。
コカ・コーラ社の2025年12月期のROEは45.96%です。
一方、日本の優良企業のROEは10%前後ですから(トヨタ:13.59%)、いかにコカ・コーラ社のROEが高いか分かります。
これだけの高い利益率を維持できる理由は、ボトリング事業を他社に委託し、コカ・コーラ社自体は原液のみを製造するアセットライト*な経営スタイルを貫いているからです。
* アセットライト:資産(asset)の保有をできるだけ抑え、財務負担を軽くする経営手法。「持たざる経営」とも呼ばれる。
7. 負債自己資本比率
ROEが高く、一見すると優良企業に見えても、実は多額の負債を抱えている場合があります。
投資をする際は、負債自己資本比率のチェックも忘れないようにしましょう。
負債自己資本比率は「負債」が、「自己資本(純資産)」に対してどのくらいの割合を占めるかを示す指標です。
この数値が高いほど負債が多く、低ければ自己資本がちゃんと確保されていることを示します。
理想の負債自己資本比率は100%以下です。負債自己資本比率が100%以下であれば、何かあっても自己資本だけで負債を全額返済できるからです。
コカ・コーラ社の負債自己資本比率は115%と、かなり健全です。理想値の100%を超えていますが、115%は「標準」の範囲内です。
負債資本比率だけでなく、事業の安定性、潤沢なフリーキャッシュフローなども併せて総合的に判断された結果です。
一方、オラクルのROEは約34%〜50%とかなり良好なのですが、負債資本比率は約500%と非常に高くなっています。
負債資本比率が500%は、「資産の5倍の借金をしている」という意味になります。
昨年末の決算発表でこれらの数値を見た投資家たちが一斉に逃げ出し、株価の下落が止まらなくなりました。
8. フリーキャッシュフロー
コカ・コーラの2026年上半期のフリーキャッシュフローは、約1兆900億円です。本業による安定収入が、高いキャッシュインカムの源となっています。
一方、前出のオラクルは、昨年末にフリーキャッシュフローがマイナスになってしまいました。これもオラクルの株価を下げた一因となりました。
9. 株価収益率(PER)
株価収益率(PER)は、株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍になっているかを示す指標です。現在の株価が、その企業の利益と比べて、割高か割安かを判断する際に使われる指標です。
PERは、「株価÷1株当たり純利益(EPS)」で計算されます。
例えば、株価が1,000円でEPSが100円なら、PERは1,000円÷100円=10倍となり、株価が1株当たり純利益の10倍となっていることを示します。
一般に、PERの基準は15倍で、これより低ければ割安、高ければ割高と判断されます。
2026年9月のコカ・コーラ社の実績PERは約23〜29倍で、市場平均よりやや高くなっています。
10. 株価純資産倍率(PBR)
株価純資産倍率(PBR)は、株価が企業の「純資産(資産価値)」の何倍になっているかを示す指標です。
PBRが1倍の状態は、純資産よりも株価のほうが低いことを意味します。
PBRが1倍より低ければ割安、高ければ割高と判断されます。
業績が良いにも関わらず、PBRが1倍になっている場合は、割安と判断されます。しかし、業績の悪い会社のPBRが1倍になっている場合は、割安ではなく、単なる業績不振です。
PBRと一緒に営業利益も確認することで、こうしたジャンク株を避けることができます。
2026年9月現在、コカ・コーラのPBRは実績ベースで約10.4倍〜11.8倍となっています。安定した業績と高い利益率が投資家から好感され、やや割高になっています。
11. 営業利益
2025年のコカ・コーラ社の営業利益は、約2兆4,033億円です。売上高・利益ともに安定した伸びを示しています。
高い価格決定力と、グローバルな需要の底堅さにより、営業利益は堅調に推移しています。
上述した11項目はGoogle検索で簡単に調べられます。気になる企業がある方は、上のリストにしたがってチェックしてみてください。
この記事を保存しておけば、いつでも簡単にチェックできます。
ディフェンシブ株の注意点
ディフェンシブ株の魅力は、不況時も株価が大きく下落しない点です。しかし、あくまでも、守りの投資ですので、大きな爆発力は期待できません。インフレ対策または分散投資の一環として考えておきましょう。
投資のコアはS&P500やオルカンなど利回りの良いものにし、ディフェンシブ株はサテライトに留めておくことをお勧めします。
ディフェンシブ株に全振りしてしまうと、景気が回復した時に成長の果実を逃してしまいます。
まとめ
ディフェンシブ株は安定重視の銘柄です。短期間で株価が何倍にもなるような爆発力はありません。
コカ・コーラ社のようなディフェンシブ株は、爆発的な値上がりを狙う株ではなく、長期的な配当収入を目的とし、定期的な積立で少しずつ買い増しする株です。
しかし、投資中・上級者には「待つ」戦法もお勧めです。
投資の神様ウォーレン・バフェット氏は「何もしないこと」、「待つこと」も投資の一部だと語っています。
「バリュー投資」を信条としているバフェット氏は、良い企業を見つけても株価が高すぎる時はすぐには買わず、株価が下がるのをじっと待ちます。
バフェット氏が超人的な理由は、この「待つ」時間が非常に長い点です。彼は株価が妥当な価格になるまで、何年でも待てました。
具体例を挙げると、バフェット氏はアップル社の株を購入するまでに、10年以上待ちました。
2016年にアップル社の業績が一時的に低迷すると、多くの人が「もうアップルはオワコンだ」と株を手放しましたが、バフェット氏はアップル株を約981万買いました。
結果として、アップル株はバークシャーに史上最大のリターンをもたらしました。
どんな優良株でも、割高な価格で買えば利益は減ってしまいます。安く買うこと自体が、最大のリスク回避です。
「良い企業を適正な価格で買う」それを具現化したのが、バフェット氏の「バリュー投資」です。
もしも大暴落が来て、優良株が大きく下がったら、バフェット氏のようにバリュー株を買い漁るのも一手かもしれませんね。
*投資は自己責任でお願いします。
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