今さら聞けない「株価収益率(PER)」ってなに?気になるあの企業の未来を、「PER」と「キャッシュフロー」から占ってみた!

お金のこと

金融系動画でよく耳にする「PER(株価収益率)」は、株価が割安か割高を示す指標です。
特に説明されることもなく、当たり前のように使われていますが、私たち投資初心者には意味不明の単語です。

例えば、皆さんは最近、上場したばかりのスペースXのPERがどのくらいかご存知ですか?投資初心者は、「スペースXってすごく人気があるから、PERは100倍ぐらいなんじゃない?」って思いますよね?
実は、スペースXは赤字続きのため、PERの算出が不可能なんです。スペースXの赤字総額は、約8,000億円と報じられています。
スペースXのスターリンク事業部門(衛星インターネットサービス)は利益が出ています。しかし、その利益もすべてロケット事業に吸い込まれている形です。

また、スペースX(イーロン・マスク氏)は特殊な議決権を採用しているため、株主は彼の経営方針や戦略に口出しできません。
将来、ロケット事業が黒字になったとしても、マスク氏の一存で、その利益をすべてロケット事業に注ぎ込まれる可能性は限りなく高いのです。

今回はそんな不思議な「PER」を、投資初心者でも分かるように簡単に解説します。難しい計算式や理論は一切抜きです。

株価収益率(PER)とは

株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)は、株価が「1株当たりの純利益の何倍になっているか」を示す指標です。これが高ければ株価は「割高」とされ、低ければ「割安」と判断されます。
一般に、PERの平均は15倍前後とされています(業種や状況によって、変わることがあります)。

PERが15倍の場合、その企業の株は1株当たりの純利益の15倍で取引されていることになります。
つまり、株価が「1年間に生み出される1株当たりの純利益」の15倍になっているということです。この場合、15年で元が取れる計算になります。

但し、これは「毎年、利益が変わらないと仮定した場合」の話です。成長している企業であれば、利益は毎年、増えていくはずですから、実際には15年よりも早く元が取れると考えられます。

株価には投資家の期待値が上乗せされています。そのため、株価は1株当たりの純利益よりも高くなります。だから、PERの単位は「倍」なのです。
投資家はその企業が将来有望と思えば、高くても株を買おうとします。「実際に生み出される利益よりも高い株」を、将来の利益を見込んで買うのです。
それは株の購入がただの「売買」ではなく、「投資」だからです。
株の購入はただの「売買」ではなく、「投資」です。この辺のリスクを認識せずに、株式投資を始めると「こんな筈ではなかった!」ということになってしまいます。

改めて考えると、「実際の利益よりも何倍も多く支払って株を購入するなんて、なんだかぼったくられているみたいだ」と感じる人もいるかもしれません。
もしも、株価に投資家の期待値がまったく上乗せされていなければ、「株価=純利益」となり、PERは1倍になります。
しかし、特殊な例を除いて、PERが1倍の企業は実際には存在しません。「期待値が上乗せされていない」、つまり「期待しない」企業の株を買う人はいないからです。

注:「PER」と「PBR」と混同しないように。

PERは割安か割高かの判断材料として使われますが、企業の価値はこれだけでは測れません。
まず、PERを見るときは、1社だけではなく、同じ業界の他社のPERと比較しましょう。1社だけでは判断がつき難いです。

そして、できればPERだけではなく、他の判断材料も併せて確認しましょう。
「財務諸表を読め」とまでは言いませんが、個別株に投資するのであれば、最低限、企業のフリーキャッシュフロー(企業が自由に使える現金)ぐらいは確認しておきましょう。

難しい事を覚える必要はありません。ちょっと乱暴ですが、「フリーキャッシュフローが多い企業は体力がある」とだけ覚えておけばOKです。そのような企業は財政的な余力がありますので、ちょっとの事ですぐに倒れることはありません。
逆に、フリーキャッシュフローが少ない企業は余力がなく、常にギリギリの状態ですので、ちょっとした事ですぐに経営が行き詰ってしまいます。

企業のフリーキャッシュフローは、Google検索で簡単に調べられます。フリーキャッシュフローを調べていると、表には出てこない企業の「台所事情」をGoogleが勝手に提供してくれるので面白いですよ。

注:フリーキャッシュフローが多くても、研究・開発や株主還元に使わずにただ溜め込んでいる企業もあります。そのような企業は将来の成長が見込めないので、フリーキャッシュフローが多くても、評価は低くなります。

気になるあの企業のPERは?

感覚的には割高だと感じていても、PERを確認せずに株を買っている人は多いと思います。空前のAIブームで、明らかに割高感のあるビックテックのPERは、実際にはどのくらいになっているのでしょうか?
また、下落が続いているキオクシアの株は、お買い得になっているのでしょうか?
気になったので、調べてみました。

キオクシア

2026年7月29日現在のキオクシアの株価は38,380円と、ピーク時から60%以上も下がっています。
暴落直後のキオクシアのPERは、「算定不能」となっていましたが、現在は、以下のようになっています。

会社予想PER:未定(非開示)
予想PER:4.7倍〜7倍(AI特需による大幅な利益拡大予想を前提)
実績PER:40倍〜54倍(直近12ヶ月の実績ベース)

キオクシアの買い時(キオクシアだけではありませんが)を、PERだけで判断するのは不可能です。
キオクシアの場合は、レバレッジ勢の投げ売りが一通り終わり、底打ちを確認してから動いたほうが安全です。

7月31日には、キオクシアの決算発表が行われます。それにより、市場の不安が払拭され、株価が上昇するようであれば、そこから「順張り」するほうが無難です。
投資初心者が、相場師のような山気やまっけを出してはいけません。

*投資は自己責任でお願いします。

今も下落が続いているキオクシア

OpenAI

上場企業ではないため、株価や株価収益率(PER)は存在しません。

アルファベット (Google)

米グーグルの親会社であるアルファベットは、7月22日に第2四半期(4〜6月期)の決算を発表しました。売上高は24%増と市場の予想を上回りましたが、株価は急落しました。
理由は、キャッシュフローを上回る巨額の設備投資です。設備投資額が本業の利益を喰い尽くし、フリーキャッシュフロー(自由に使える現金)がマイナスになってしまったのです。それを知った投資家が、アルファベットの株を一斉に手放したのです。

赤丸が決算発表の日(7月22日)

予想PER:15.8〜22倍(市場予想や算出タイミングにより変動)
実績PER:30倍前後
過去の平均:過去5年間の平均PERは、21倍〜25倍です。

オラクル(Oracle)

オラクルの決算発表は6月10日でした。本業の営業利益は大幅な増収だったにも関わらず、フリーキャッシュフローの赤字が明らかになったため、翌11日には株価が12.6%下落しました。
AI関連の設備投資による負債額は、約21兆円に達しています。

2025年末からフリーキャッシュフローが
赤字に転じている
決算発表の翌日(6月11日)に
株価が急落し、その後も下落が続いている

オラクルのPERは、以下のとおりです。
実績PER:約19.16倍
予想PER:18.65倍〜21.4倍

PERが下がったとしても、多額の負債がなくならない限り、多くの人はオラクルに投資はしたいとは思わないでしょう。
くどいようですが、株を買うときはPER以外の指標も確認してください。

エヌビディア(NVIDIA)

実績PER:30〜32倍
予想PER:約29倍

業績は好調ですが、「循環的融資」とOpenAIへの巨額の融資が投資家の不信感を招き、株価の変動が激しくなっています。

「循環的融資」とOpenAIへの巨額の融資に
投資家の不信感が増している

マイクロソフト(Microsoft)

実績PER:22倍〜24倍
ピーク時と比べると割安になっています。

本業の業績は好調ですが、巨額の設備投資、フリーキャッシュフローの減少などにより、株価は下がっています。

アマゾン(Amazon)

実績PER:27倍〜31倍
予想PER:約26倍

本業の業績は好調ですが、巨額の設備投資、フリーキャッシュフローの減少などにより、株価は下がっています。

Meta (Facebook)

実績PER:20倍〜21.6倍
予想PER:21.4倍〜22.9倍

本業の業績は好調ですが、巨額の設備投資、フリーキャッシュフローの減少などにより、株価は下がっています。

S&P500

実績PER:約28.5倍
近年の平均PERは、20〜2倍です。
S&P500に占めるビックテックの割合が大きくなっているため、PERが高めになっています。

東京エレクトロン

予想PER:30.6倍〜35.7倍
実績PBR:約11.1倍

半導体業界の平均PER 25〜27倍をやや上回る水準となっています。

PER(株価収益率)が100倍の企業

世の中には、PERが100倍を超える企業がいくつか存在します。
株価が「1株あたりの売り上げ(利益)」の100倍になっているのですから、極めて高いPERと言えます。
この水準のPERは、企業の急激な成長、将来に対する強い期待、相場の過熱感を表しています。

テスラ(Tesla)

テスラの株価収益率(PER)は、約200~150倍と非常に高い水準で推移しています。
伝統的な自動車メーカーの平均PERは10倍〜20倍程度ですから、極めて高い(割高な)評価と言えるでしょう。
これは、投資家がテスラを純粋なカーメーカーではなく、テック企業と見ているためです。AI分野の将来性が強く織り込まれた結果でしょう。

引用元:外為どっとコム

エアロバイロンメント(AeroVironment)

ドローンや防衛関連システムを手がける企業です。高い将来性が買われて、高PER(約150倍)で取引されています。
防衛・航空宇宙業界の平均PERは約32倍ですから、いかに高い期待値が織り込まれているかが分かります。

しかし、エアロバイロンメント社は地政学リスクやウクライナ情勢の動向、米政府の方針の転換などの影響を強く受けるため、株価の変動は非常に激しくなっています。

ウクライナ戦争が始まった直後(2022年)、
エアロバイロンメント社はウクライナ軍に偵察ドローンを100機寄付した100機寄付した
急成長著しいが、
ボラティリティ(価格変動)はかなり高い

まとめ

ドイツの鉄血宰相と呼ばれたビスマルクは、「賢者は歴史に学び、愚者は経験から学ぶ」という言葉を残しました。
「愚者」は自分で失敗して初めて失敗の原因に気付きます。つまり、自分で経験したことからしか学べないのです。
しかし、「賢者」は自分が経験していないこともからも学ぶことができます。これは投資にも当てはまると思います。

このブログでは失敗も成功も包み隠さず、皆さんと共有しています。皆さんが、踊子の失敗から何かを学んでいただければ幸いです。

今回の記事はいかがでしたでしょうか?難しい説明を省いたので、中途半端になってしまいましたが、なんとなく、PERの使い方が分かっていただけたのではないでしょうか?

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